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俺の運命の相手が、男だった件について。

第1章 ありえない運命だった件について。

「へぇ~…」

俺と同時に、玲も納得したような声を出した。

たまたまとは言え、玲はタロットで良かったのかも知れない。

俺にも言えないような奴が好きな相手なら、きっと、この人にも知られたくは無かっただろうから。

てことは、"内緒にしたい"秘密な恋ってのをしてる人にも、タロットはオススメってことか。

「なんて説明したら良いのか解らないから……こんな説明しかできないけど…

できたら参考にして?

これを踏まえた上で改めてどれにするか決めてちょうだい?」

決めてちょうだい?って言われても…

言ってしまえば、別にどれでも良かったのだ。

いくつか謎が解けた今、残るのは少しの不安だけだ。

ならば、この場にいる全員に細かい事が解らないよりは、この女の人だけでも…

まだ見ぬ俺の相手の事を知ってくれていた方が良い気がする。

それに、時間もあまり掛けたくは無い。

ならば答えは1つだ。

「………水晶で。」

「分かりましたわ」

優しく目を細めて、女の人はジッと水晶を見つめる。

あれ……手をかざしたり、変な呪文唱えたりはしないんだ…。

ただ、ジーッと水晶を見つめるだけの姿に何とも言えない違和感を感じた。

あまり時間が掛からないとは言ってもやはり、ある程度は掛かるもので…

その短い時間、どうしてれば良いのか解らず目線をさ迷わせた。

玲の方を見るにも、体は動かしちゃいけないような…

もっと言えば、ぴくりとも動けないような空気感だ。

無論、物音なんてもっての他だ。

結局…俺も水晶を眺めるが、当たり前のようにそれはただのガラス玉でしかない。

ふと、女の人の目に視線が行った。

優しげな…温もりすら感じる瞳の奥に、
真剣さも秘めていて…

真面目に占ってくれてるんだ…

と、少し嬉しくなった。

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