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俺の運命の相手が、男だった件について。

第1章 ありえない運命だった件について。

「………っ!?」

「…ぇ?」

突然、水晶を見つめる女の人の目が大きく見開かれた。

あまりの表情の変化に、俺は戸惑いの声をあげる。

根拠は無いがおそらく、玲も同じだろう。

「ど、どうしたんすか…?」

不安は募る一方だが、女の人に声をかける。

見開かれた目と、ポカンと開けられた口は、まさに"驚き"というモノを表現しているように思えた。

「ぇえっと…その…」

俺達がここへ来て、初めて女の人が戸惑っている。

さっきの俺のように視線をさ迷わせては、俺の表情を伺っていた。

「…はっきり言ってください。」

きっと良からぬモノが見えたのだろう、と嫌な予想が自分の中で立てられる。

なんだ?何が見えたんだ?

…あれか?
物凄く不細工なやつだった?

それとも、50代とかのおばあちゃん?

我ながら、どれも酷すぎる予想だが、この人の慌てっぷりからするにこれくらいが妥当というか……

もう、いっそのこと、一思いに言ってくれた方が楽になる。

「お願いします。」

未だに動揺している女の人に、急かすよう声をかける。

「……分かりました。」

─ゴクッ

女の人の神妙な顔つきを見てるだけで不安すぎてどうにかなりそうだ。

緊張しすぎて乾いた喉を潤そうと、先程とは比にならないくらいの唾を飲み込んだ。

後ろで玲も息を呑んだのが伝わってくる。

─ドキ…ドキ…ドキ

心臓も脈打って、身体全体が心臓になったようだった。

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