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俺の運命の相手が、男だった件について。

第4章 気持ち悪過ぎるアイツの件について。

それどころか、俺は無視で母さんと話し始めた。

「もー!ママったら!何で言っちゃうの?…てか、まだ完全にくっついた訳じゃないって言ったでしょ。気が早すぎ」

いや、完全も何も、くっつく予定なんかないんだけど。

気が早いのは、どっちなんだよ。

「あら?知ってるわよ。だから今日はお赤飯だけなんじゃない」

なんでだよ。
赤飯というのは、そんなに便利なものなのか?

不思議そうに話す母さん。
不思議なのはこっちの方だ。と言ってやりたい。

だが、言葉にする前に、また母さんが喋りだす。

「だってだって!朔ったら…そーゆうこと全然言わないし!恋人だって居たことないじゃない??

…だから、ついうれしくって…」

「…」

そんな事を言われれば、俺はひたすら黙ることしかできない。

…と、言うか…むしろ気まずい。
そこまで思ってくれてるというのに…

相手が"男"の"先生"だなんて…。

いや、そもそも母さんはその事を知っているのだろうか。

「…でも、朔は豆類ダメじゃなかった?」

「あ……」

チラッ

「…はぁ」

俺が豆類を嫌い、ということをやっと思い出した様子の母さん。

俺の様子を伺うようにチラ見したのが良い証拠だ。

その前から思う所は色々あったが、もう口にするのが、メンドクサイ。

だが、これだけは聞いておこうと思った。

あいにく、単身赴任中の父さんはいないけどこの際気にしない。

「母さん」

俺の声が小さいのは、疲れたとかだけじゃなく…

きっと、これから話す事に少なからず不安があるから。

「なぁに?」

さっきの事で責任を感じているのか、静かに聞き返す母さん。

…いや、俺の不安を感じとってくれたのかもしれない。

だからこそ、こんなに優しく諭すように聞き返してくれたのかもしれない。

そう思うだけで、無意識に不安が薄らいでいくような感じがした。

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