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俺の運命の相手が、男だった件について。

第4章 気持ち悪過ぎるアイツの件について。

気づけば俯いていた自分の顔。

ハハッ…こりゃバレるわ。

自分でも気づかないうちに不安が行動に出ていたらしい。

何かハズ…っ

パッと顔をあげ、母さんの顔をみる。

ニッコリと微笑んで優しく俺の話を待っている母さん。

「あのさ…」

そんな母さんを見ていると、自然に口が動いた。

「母さんは、知ってんの?…その、姉ちゃんが言ってた奴がどんな奴なのか」

一瞬、目を見開いて、母さんはまた優しく微笑んだ。

「知ってるわよー?イケメン教師…でしょ??」

「え!?し、しってんのにこんな…」

笑顔を崩さず言う母さんの言葉。

それを信じられないと思うのは、果たして俺だけなのだろうか。

普通、息子が男の先生と…なんて、反対するものだろう。

なのに…なんだこのウェルカム状態は…

「フフ…いいじゃない。同性同士だって。
教師と生徒だって…。

私は、私の息子が、好きになって…相手も息子の事を好きで……
大切に…幸せにしてくれるなら、それでいいのよ。

…でも、世間はそうじゃない。朔…私は貴方が幸せになれるなら何だって良い。…でもね、くれぐれも気を付けなさい。」

「母さん……」

何故か泣きたくなった。

自分のことを、こんなにも思ってくれてる人がいるんだ、と言うことに。

今更ながらに気付く。

「それに!可愛い孫の顔は、お姉ちゃんが見せてくれるらしいから」

少ししんみりとした空気を、母さんは明るい言葉で変える。

姉ちゃんも、「任せなさい!」なんて胸をはって言っている。

そんな光景に、思わず笑みが零れた───

……

……………ん?

いや、ちょっと待て。

…いやいやいやいやいや。
俺は別にアイツの事なんか好きじゃない。むしろ嫌いだ。大っ嫌いだ!

てことは…アイツの事をこんな風に話す必要性って無かったんじゃないか?

……うわぁぁああ!

何やってんだよ俺!
しんみり泣きそうになってる場合じゃねーだろ!

俺だって可愛い女の子と結ばれるハズだろーが!

自分から…こんな……家族公認みたいなことして……

流されるにも程があんだろ!
くっそ、しくったあーーっ!

今更気付き、嘆いても、もう…ニコニコと喜んでくれている親に…

結局俺は、何も言えなかった。

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