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俺の運命の相手が、男だった件について。

第4章 気持ち悪過ぎるアイツの件について。

─スタスタスタスタスタ…

寒さと苛立ちに、歩調はだんだんと早くなる。

「ちょっ、朔!ごめんてっ」

それに焦ったのか、玲は早足で追い付きながら、俺の顔を覗き込んだ。

「………」

「朔ー?…海津朔くーん。……わかった。前、朔が欲しがってた漫画奢るから。な?だから許して」

手を顔の前で合わせて謝る玲。

沈黙を守っていた俺だが、玲の…主に後半の言葉に思わず玲を横目で見る。

「……しょーがねーな。…今の言葉忘れんなよ。」

ま、そこまで言うなら許してやらない事もないか。

「うし」

俺の機嫌が直ったと、横で喜ぶ玲から視線を反らす。

…我ながらなんて幼稚な手に引っ掛かってしまったんだろう。

それが少し恥ずかしかった。

でも、前から欲しいと思ってた漫画だし……

ま、いっか。

欲しい漫画が、自分で買わなくても手に入る。

嬉しくて、いつ買いに行こう?なんて考えていた俺の頭には、もう…

あんなにも嘆いたハズの昨日のことがスッポリと消えて無くなっていた。

「あっ!朔!ちょっとゆっくりしすぎた!走らねーと遅刻だわ!」

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