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俺の運命の相手が、男だった件について。

第4章 気持ち悪過ぎるアイツの件について。

しばしポカーンと口を開け、間抜け面であっただろう俺は、

バッと玲の方へ顔を向ける。

あれ…居ない…

確か後ろから走って来てたはずなのに…

ま、まさか……

おそるおそる玲の席…窓側の後ろから二番目の席へと視線を向けると…

「………アハッ」

ちゃっかり自分だけ座っていた玲。

あろうことか、舌を出してウィンクまでしてきやがった。

「………(殺)」

本気で殴ってやりたいと少し殺意が沸く。

後で覚えてろよ…こっの、クソ野郎。

恨みを込めた視線に、玲は少し青ざめながら顔をひきつらせた。

「……では、海津くん?放課後は科学準備室にきてくださいね。」

そう言った柊の顔が、心なしか嬉しそうに見えたのは…気のせいだろうか。

柊は惜しむようにゆっくりと視線を俺から教室内に移す。

スッと横を通り抜けて「皆さん、おはようございます。」なんて胡散臭い笑顔を皆に向けた。

だというのに、女子は照れくさそうに頬を赤らめる。

…あんな笑顔の何処がいんだよ…胡散臭くて気持ち悪りぃー。

昨日の朝。全校生徒の前で見たあの気持ち悪い笑顔。

その顔に、昨日とまったく同じ事を思った俺。

…だが、昨日の科学準備室では、もっと自然でキレイに笑えていたはず。

なのに…なんであんな"造られた"みたいな顔をしているんだ?

誰彼構わずヘラヘラしやがって…。

無意識に、俺は唇を尖らせた。
何となく不機嫌なのが顔に出てしまったのだろう。

皆も皆だ。

あんな笑顔に騙されて、嬉しそうにしちゃってさ。

アイツもアイツだが…そんな皆にも腹がたつ。

……ん?

俺は…何を考えて……

ここまで考えて自分で驚いた。

昨日の科学準備室で見たあの笑顔。
あの笑顔がキレイだった…だと?

確かにそう思ったかもしれない。

でも…別にどーだって良いことのはずだ。

なのに…なんでこんなに腹がたつ?

…いや…ちがう。

これは、このムカついきは、あんな笑顔に騙されて、嬉しそうにしているクラスの奴が…

可哀想で……何となく、ムカついただけ。

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