無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

心の準備ができていなかった俺は、当たり前のごとく焦る。

ど、どーしよう…っ。
今からでも遅くはないよな…

よし。かえ…─ｺﾝｺﾝ

「あっちょっ─」

情け無くも、帰ろうと考え出していた俺なんかお構い無しに、玲は躊躇なくドアをノックした。

声を掛けた時にはもう遅い。

「ん？なに？」なんて顔を貼っつけた玲はキョトンと俺を見上げる。

「…あらあら。悩めるお客様かい？
お待ちしてましたよ。…どうぞお入りなさい？」

「……はぁ～。まぢかよ。」

ドアの向こうから、ノックに答えるように、ハスキーな女の人の声が聞こえた。

それに頭を片手で押さえる俺を玲はまた、不思議そうに見上げた。

「………うし。」

もうここまで来たんだ。

ウダウダ考えたって仕方ない！

─ｶﾞﾁｬ

男らしく開き直ったのを知ってか知らずか、タイミングよく、玲がドアを開ける。

「しつれいしまーす」

「……いらっしゃい。」

玲の声に答えたのは…

まぁ、想像どおりと言うべきか…。

全身、紫で統一された女の人。

黒のパターンも考えてたけど…紫か。