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俺の運命の相手が、男だった件について。

第1章 ありえない運命だった件について。

女の人の前に置かれた大きな水晶玉までもが予想通り。

予想外だったのは、その人の見た目が
思ったよりかなり若そうに見えた事。

30…いや、こりゃ20代ぐらいだろ。

顔を覆っている紫の布のせいで、よくは見えないから詳しくは解らない。

でも、スタイルとか、すげー良いし…

「……─朔?」

「─あ、あぁ…」

扉の前で棒立ちする俺を、促すように玲は呼んだ。

室内も、"占い"を思わせるようなものが色々と置いてある。

部屋の照明も薄暗く、"いかにも"な雰囲気を醸し出していた。

「…ではそちらのお客様から、前の椅子に座って下さる?」

そう言って占い師が指したのは玲だった。

「ぼ、僕からですか?」

「ええ」と、紫の布から透ける割とキレイな女の人の顔はニッコリ微笑んでいて…

何処か緊張が和らいでいく気がした。

戸惑いながらも一人用の椅子に腰かけた玲を見届けると、女の人は口を開く。

「では…今回は何をどうやって占いますか?」

「え…えっと…」

「何にお悩みですか?
…恋?それとも、友情?進路とかかしら?」

笑顔を崩さすに話す女の人の言葉に少し驚く。

へぇー。この人…一応何でも占えんだ。

さすがは人気の占い師。

なんて思いながら、特に指示の無かった俺は玲の斜め後ろに立つ。

「じ、じゃぁ恋愛で…」

まだ緊張が抜けないのか、ぎこちなく玲が言った。

「フフ…分かりましたわぁ。
では…次はどのように占うか。を決めて下さる?

…主に、タロットや水晶ですけど」

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