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身代わり妹

第5章 揺心

夕方に洗濯物を取りには行けないため、いつもはいかない昼休みに姉の病室へと呼ばれた。



「あっ…ああっ…」

ドアに手を掛けた時に、中から姉の声が聞こえてきた。


見ちゃダメ─────

心が警笛を鳴らす。


ドクドクと心臓は嫌な音を立て、ドアを持つ手が震える。


見ちゃダメ…

なのに……

少しだけ開けた隙間から、病室内を覗く。


「─────…っ」

こちらを向いて座っている姉の病衣ははだけ、痩せた胸元が露わになっている。

姉の前には、姉に向き合うように凌太がしゃがんでいた。


姉は私の視線に気付くと口端を持ち上げ、見せつけるように凌太の頭を搔き抱く。


「凌太ぁっ」

凌太の顔が姉の胸元に埋められた。


「ああっ、もっと…もっとぉ…っ‼︎」

姉の甘い声だけが響く病室。


冷や汗が流れ、心臓が嫌な音を立てる。



(プロポーズ…成功したのかな…)

鈍くなっていく頭の端っこでそんな事を思った。


ああ…そうか……。

そしたらもう、身代わりの私は要らないんだ………。


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