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身代わり妹

第4章 現実

昼休み、私は花純ちゃんと食堂にいた。

今日は遅めの昼休みのため、食堂内はまばらだ。



「美優先輩、最近浅川さんにハマってますね」

「ええ⁉︎」

突然の花純ちゃんの言葉に驚く。


浅川さん……奏佑くんとは相変わらずメールをする仲。

それ以上はない。


「だって、今までは携帯ロッカーに置きっ放しだったのに、最近じゃいつも一緒じゃないですか」

「それは……そのっ…」


花純ちゃんてば目ざとい……。


「メールチェックも頻繁にしてるし! いいなぁ、可愛い年下の彼」


頻繁、か……。


「でも、それも昨日までだよ?」

「え?」

「今日から、奏佑くん、仕事復帰だもん」

「あ、安静期間の終わりか。それなら別に…」


「皆、自分に 忙しくなれば、私の事なんて簡単に忘れちゃうよ」


「美優先輩……?」

怪訝顔の花純ちゃんに誤魔化すような笑顔を送る。


一番欲しい日に、

奏佑くんからのメールはなかった。



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