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身代わり妹

第4章 現実

俯いた私の頭に、大きな掌が優しく触れる。


「美優……」

「凌太…先生……」


顔を上げれば、大好きな人の優しい顔。

……でも……?

「何か…顔色悪くない?」

凌太、何だか疲れたような顔してる。


「……別に…何ともない。美優こそ、全然飯食ってないだろ」

誤魔化すように笑った凌太は、不意に私に話を移す。


「……今日は食欲なくて……」

「美優先輩、ここの所ずっと胃もたれがするって」

「花純ちゃん‼︎」


私を心配する花純ちゃんの優しさ。

でも、凌太には知られたくないのに……。


「せっかく目の前に優秀なお医者様がいるんだから、診てもらえばいいじゃないですか!」


(検査入院を断ってるのにそんな事……)

恐る恐る見上げた凌太の顔は、とても優しかった。


「……大丈夫か?」

「うん……」

入院を勧められるのが怖くて、俯いた私。

腰を屈めた凌太が、私の耳元に唇を寄せる。



「俺は…美優が生まれて来てくれて嬉しい。

美優の頑張りが伝わらないのはあの2人にだけだ。

無理…し過ぎるなよ?」


そう言うと凌太は食堂を出て行った。

私は顔を真っ赤にして俯いたまま。



─────今朝母から言われた絶望的な言葉から、凌太が私を救ってくれた。



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