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身代わり妹

第4章 現実

「凌太…何をそんなに焦るの…?」


無言で私を見上げる凌太。

どこか哀しそうなその瞳は、不治の病に苦しむ姉を想って揺れているのだろう。



「……美姫の病気を…早く治したいんだ……」


そんな哀しそうな顔、しないでよ。

凌太がどれほどお姉ちゃんを想っているのかわかったから……。



「こんなに凌太に想われて、お姉ちゃんは幸せだね。

でも、

それで凌太が倒れたら…お姉ちゃんは喜ばないよ?」

「……っ」


凌太の顔が苦しげに歪み、勢いよく顔を逸らされた。


「……っ……誰のっ…ために……っ」

苦しげに絞り出されたような凌太の低い声。


「りょ…っ?!」


強引に重ねられた唇。

滑り込んできた舌から逃げようと顔を背けようとすれば、後頭部を凌太に押さえつけられてしまう。



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