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身代わり妹

第4章 現実

凌太の腕の中が心地良くて、ウトウトとし始める。


自分がこんなにしつこい女だとは思わなかった。

別れたのに、あの後何度凌太と身体を重ねたのだろう……。


病気の姉の身代わりに私を抱いているだけだとわかっていても、

愛し合っていたと感じていたあの頃に戻ったような錯覚を起こしてしまう。



(……それでも…いい……)


毎年寂しくて悲しくて過ごしていたんだから…。

今年は…今日だけは、幸せな気分のまま眠りにつきたい……。


スーッと夢の中へ落ちていく。

いつもとは違う、幸せな気持ちに包まれて……。




「……美姫の病気を治して……美優を…あいつらから解放してやるから……」


凌太のそんな声が聞こえた気がした。



"美優を…あいつらから解放してやるから……"

……ひどい自惚れ。

わかってても、今は自惚れていたい。


愛し合っていたままに……

バッドエンドなんて来なかったかのように……


錯覚したまま、幸せ気分で眠りたい…………。


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