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身代わり妹

第4章 現実

幸せな錯覚から現実に戻るのは辛い。


後1時間で工場での荷分けのバイトが始まる。

それを知らせるアラームが、ポケットの中で震えている。



目の前で熟睡している凌太。

その頬にそっと触れる。


「……無理…しないでね……」


姉のために必死になっていた凌太を思い出す。

凌太の心に居るのは、私じゃなくて姉だ。

身体を重ねれば重ねただけ、虚しさに包まれていく。



─────身代わり…


姉の病気が治れば、身代わりは要らなくなる。

(………治らなければ─────…っ‼︎)

最低最悪な事を思いかけて、慌てて首を横に振る。


目の前の凌太の顔が、涙でぼやける。



「いつまでも、祝福してあげられなくてごめん……」


私は、温かな凌太の腕の中から、ノロノロと現実世界に這い出た。


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