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身代わり妹

第4章 現実

大山さんや工場の人達のおかげで、

誕生日翌日の朝は、凌太と姉と母の前でも普通でいられた。


あの3人の前では”瀧川 美優”は要らない人間。

でも、あの部屋から一歩出れば、ちゃんと”瀧川 美優”は存在している。



「美優先輩! おはようございます!」

「花純ちゃん、おはよう」


更衣室で花純ちゃんと一緒になる。


「何か今日ご機嫌ですね! 何かいい事ありました?」

「へへっ、ちょっとね」


昨日の工場でのパーティーを思い出し、頬が緩んでしまう。



「浅川さんですか?」

「違うよ」

昨日は結局、奏佑くんからメールは来なかった。



「美優先輩っ、明日の合コンの約束忘れてないですよね⁈」

「あー…うん……」

「乗り気じゃないですね!」

花純ちゃんが珍しく鋭い‼︎


「男の子の目的は美優先輩なんだから、絶対来て下さいよ」

「えー…私なんか……」

言いかけて口を噤む。


来年の誕生日は2人で過ごしたい。

”瀧川 美優”を愛してくれる誰かと……。


そのためにも、私は前に進まなきゃ‼︎



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