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そして僕等は絡み合う

第4章 人見 聡右の場合

咄嗟に西垣さんを背中に庇った。


「え…な…に?」


西垣さんは前屈したまま固まっている。


出来る事ならこの場から西垣さんを逃がしたいが、逆に不利になるかもしれないから下手に行動に出れない。


ドックン…ドックン…


さて…どうしたらいいか。


マッドは予想以上にガタイが大きかった。


取っ組み合ったら、完全に自分は不利なのが分かる。


最善策を見付ける為に、いつになく思考をフル回転させた。


取り敢えず…西垣さんに状況を把握させるか…


でもマッドと分かったら、マヨピョンなら逆に飛びかかるかもしれない…


人生でこんな事になるとは…

大事なモノを守るには、頭脳だけじゃ駄目なんだと、この時ばかりは思い知らされる。


アパートまで…約100メートル…。


ダッシュで走っても直ぐに部屋に入れなかったら、マッドに捕まるかもしれない…。


周りを見渡たせば、人通りはなくなているし…


コンビニまでは、逃げるにはかなりある。


黙って立ち尽くしている自分の腕を西垣さんが掴まってきた。


「人見さん…知り合い?」


微かに震えが伝わってくる。


「まぁ…ちょっと…」


少し後ずさりをすると…


「マ~ヨピョ~ン…約束通り…迎えに来たよ~!」


パーカーを被って目元はハッキリと見えないが、 口は不気味に笑っていた。

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