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そして僕等は絡み合う

第4章 人見 聡右の場合

そして…


西垣さんは呟いた…。


「え…マッド…あっ!」


あぁ…やっぱり…
西垣さんなんだ…。


ギュゥゥゥッと胸が締め付けられて、痛い。


複雑な思いが湧いて来そうだが…


「今は…それどころじゃない…」


「へ?人見さん?」


とにかく…一か八かだ…


彼女さえ守れたら良いんだから…。


目を一瞬閉じて、叫んだ。


「西垣さん!アパートまで全力で走りますっ!」


「えぇぇぇっ!?」


西垣さんさんは驚いたけど瞬発力は自分より良くて、ダッシュでアパート目指して走り出した。


「ははははは!追っかけっこ得意だよ~!」


マッドは不気味な声を響かせて、慌てた様子もなく追っかけて来た。


もしかしたら…マッドはこうなる展開を想定済みだったのかもしれない。


「てか…古いホラー映画みたいだな…」


100メートルなんて10数秒な筈なのに、やたら遠く感じてしまう。


「西垣さん!直ぐに部屋に入って!」


彼女の背中に向けて叫ぶ。


「分かった!」


西垣さんが鍵を開けている時に、体当たりでマッドを止めよう…

もうそれしか、思いつかなかった。

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