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そして僕等は絡み合う

第5章 南野 昴の場合

キョロキョロしながら歩いていると少し怪しげだが、服を物色している客だと思ってか、店員もチラ見をしてくるだけだった。


メンズフロアでも女性店員は結構いた。


思えばプレゼンとかでも女性客が来るし、男性だった女性目線でコーディネートして貰いたい時もあるかもしれない。


「東さんだったら、どんな服が好きだろう」


隣に並びながら歩くところを想像すると、顔がにやけそうになる。


いかん!いかん!
今は高橋さんの恩義に応えるのが優先だ!


気合を入れ直して、目に力を込める。


背が高くて髪も長い宮脇さんなら、直ぐに見付かると思いきや中々それらしい人物が見当たらない。


メンズフロアはもう一階上にもある。


「上を見に行くか…」


エレベーターの方に向かおうと、身体を翻した時だった――――


「おっと!お客様、大丈夫ですか?」


「わっ!すんません!」


背の高いイケメン店員とぶつかりそうになった。

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