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そして僕等は絡み合う

第5章 南野 昴の場合

人見さんと西垣さんのことは今度ゆっくり高橋さんにでも相談してみよう。


どうも俺は色恋沙汰に弱い。


自分の恋だけでもいっぱいいっぱいだしな。


何とか人肌脱ぎたいと思ったけども、自分の不甲斐なさが情けなくなる。


必ず人見さんの笑顔を取り戻すためにも、バーベキューを成功させねば!!


元々そんなに笑わない人見さんなのに、俺の頭の中では白い歯と眼鏡を輝かせながら笑っている顔を作り上げていた。


「人見さん! 絶対思い出に残るバーベキューにしましょうね!」


「あ……はい」


急に熱くなって人見さんの手をガッチリ掴み、上下に激しく振り出した俺に人見さんは怪訝な顔になる。


「じゃっ、また連絡しますね!」


親指を立てて、人見さんに最高の笑顔を見せた。


気持ちをシフトチェンジして、俺は最終目的の東さんの部屋に向かっていく。


ダンッ!!
ダダダダン!
ダンッ! ダンッ!!


東さんの部屋のドアを眼前にし、インターホンを押す人差し指を伸ばすと気持ち震えている。


映画のクライマックスシーン並みの効果音が聞こえてくるかのようだった。

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