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愛 人 契 約

第6章 秘密の契約

「適当に走らせて」



黒崎さんは運転席にいる男の人にそう告げる。

車はネオンがきらめく街中を走り出した。






「…運転手さんがいるんですか?」

「そうだよ。酒飲むことも多いし、移動中に仮眠とりたいときもあるからね。それに、移動しながら打ち合わせなんてこともあるし」



…さすが、社長さん。

昨晩はタクシーで移動したから、黒崎さんの車を見るのは初めてだった。

それにしても、車に乗っていても仕事してるなんて…本当に忙しいんだな。



「昼間は連絡できなくて悪かった。朝も一人にしちゃって…。でも、すやすや寝ている顔を見たら起こせなくて」



ドキッ…



昨晩の甘い記憶と、さっきの苦い出来事が混ざり合う。

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