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「最高のエロを目指して」 BL短編集

第10章 先生と生徒 (下克上/焦らし)

 本当に飲んでしまった。なぜか、体に力が入ってしまっていたから、櫻庭は慌てて体の力を抜いた。そして、手に握られたカップを傾け、口に含んだ。普通の紅茶だった。妙に落ち着いて、あっという間に全部飲み干してしまった。口のはしについた水滴を、袖で拭う。

 紅茶をのむと、だいぶ冷静になってきた。そして、櫻庭は目の前の行為についての思考も、どうにかきちんと働くようになった。


「センセ、お忙しいところすいません。ちょっと話があるんですけど、いいですか?」

「お、おう。構わないが……先に俺から言わせてくれ。お前がさっきやったことは一体なんだ?」

「もちろん、性行と、佐藤くんに飲料を与えただけですけど?」

 如月は、さも当たり前というように笑顔で答えた。さっきから、彼は全く笑顔を崩していない。
 それにしても、性行と飲料を与えただけ、だって? 前者はおいておくとして、後者はどう考えてもおかしいはずだ。
 あれは、人間が飲むものでは無いだろう。あんなものを飲み続けていたら、100%腹を壊すことになる。性行は愛があるからヤっているのだと理解ができるが、精液を飲ますことだけはおかしいはずだ。

「いや、あんなものを飲めるはずがないだろう?」
「いいえ、佐藤くんはあれを気に入っているのですよ。ねぇ、佐藤くん?」

 如月が佐藤に目を向けると、佐藤はこくりと頷いた。顔を真っ赤にして、ソファーの近くにあった布団にくるまっている。

「ほら、本当でしょう?」

「いや、でも、腹を壊すだろう」

「いえいえ、そんなこともありませんよ。よければ……飲んでみますか?」

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