イケない同棲生活
第3章 3――新居にて
投げ飛ばされた衝撃で数秒間動けずにいると、覆いかぶさる影にひゅっと息を飲む。
倒れる私の上に跨る男は、月明かりに照らされて更に妖艶さを増していた。
「いいだろ?ここにはお前と俺。二人しかいねーんだ」
「そ、そういう問題じゃなくて…!!」
「じゃあどういう問題だ?」
「ぐっ」
そう言われたって、なんも言えないし!!
だから、だから…!!そんな、甘い瞳で見ないでよ…。
その瞳で射抜かれてしまったら、何も言えなくなるじゃない。
「ほら、結局俺に逆らえねぇんだろ」
「んな!!――ッ、」
と、とんだ自惚れた言葉に反論しようとすれば、己の唇に感じる熱く、柔らかい感触によってそれは阻まれた。
「ふぅ…っん…っ、」
優しくも、時折噛み付くように落とされるキスの雨に只されるがまま。
次第に深くなる口付けに、呼吸が止まる。
「――...口、もっと開けろよ。まさか、キスも初めてじゃねぇだろうな?」