イケない同棲生活
第3章 3――新居にて
息も絶え絶えに顔を俯かせていれば、次に囁かれた言葉に体が強張った。
「、」
な、なんでばれてんだよぉぉおお!!
「おいおい、嘘だろ」
僅かに強張らせた私の体に気付いた男が、驚きと笑いを含んだ声でそう言って、本当かどうか表情で確かめようと顔を覗き込んでくる。
目を見張るほどの綺麗な顔がドアップで映し出されて、私は誤魔化しきれず顔に熱を集めてしまった。
「わ、悪い?!25歳でキス未経験者だって、日本中探せば何人かいるわ!!!」
そうだ、いるんだ…!!
誰もが皆、そんな経験を歩んでいるわけじゃない!
「悪いって、別に」
と、完全に開き直った私の耳に届いた男の声は、妙に穏やかで。
思わず顔を上げると、また、窒息。
「んんんっ…ふっうぅっ」
長い睫毛を伏せ、すぐさま割り込んできた熱い舌が私の舌と絡まる。
逃げようとどんなにもがいても、追いかけてきて。歯列をなぞって、舌に吸い付き、また絡める。
そんな行為を何度も繰り返し、甘い彼の舌で貪られながら、どちらのものかわからない唾液が顎を伝った。
「ンッ…ハァッ」
いつの間にか体は再び組み敷かれていて、足の間に滑り込んだ男の腰に、くねる自分の足が擦り合う。
キスって、こんなに甘いんだ。
こんなに、気持ちよくて。
――癖になるものなんだ。