
イケない同棲生活
第4章 4――偽装生活
「そっそういうわけじゃっ」
「じゃあどういうわけだよ」
「っ」
ツツツッと、今も尚這わせてくる指先に、体が小刻みに揺れる。
ここが会社だということを思い出し、慌ててヤツの手を押さえようとするけれど、男の力に適うはずも無く、
「ほら、逃げようとしたんじゃねーか。俺から逃げようとしたらどうなるか、体に教えてやんねーと駄目みてぇだな」
「やっ?!」
先程出たばかりの会社に戻り、近くにあった男子更衣室に引きずられた。
まだ中に誰かがいるかもしれないというのに、ずんずんと足を進めていったヤツにある意味尊敬するが、今は危機感しか感じられない。
声色は昨日と同じだけど…
「誰もいなくて残念だったな?」
「っ」
ロッカーに体を押さえつけられ、やっと男の顔を見たとき。
「泣いて叫んでも、俺が興奮するだけだからな」
私はとんでもない男を怒らせてしまったと、本気で思った。
