
イケない同棲生活
第4章 4――偽装生活
「んっ」
え、と思った時には、少しかさついた唇が、私の唇と重なっていた。
だけど、軽く重なったと思ったら、すぐに離れて。
男が自分のおでこと私のおでこをコツン。あわせて、小さく溜息を吐いた。
「連絡くらい、よこせ。心配しただろーが」
「…ご、めん」
そして、溜息と共に吐き出した言葉があまりにも意外で、少し驚く。
絶対こいつは、私のこと何も思っていないって思ってたから。
なんだか威勢のないこのヒトだと、調子が狂う…。
「ダメ。許さねぇ」
「ッは?!」
が、口をへの字にしていた男は、すぐさまゆるりと口端を上げ。
「ちょっここ会社…っんん~!!」
今度は、噛み付くようなキスをしてきた。
