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イケない同棲生活

第4章 4――偽装生活




ガタンッ!!



と、大きな音がたつほどロッカーに押さえつけられ、激しいキスに私の脳の奥深くで甘い痺れがおきる。




「は…っ」




息苦しさに口を開けば、それを待っていたと言わんばかりに、するっと舌が侵入してきた。




――あぁ、甘い。



甘くて、熱くて。




体がとろけそうだ。





「んっ…ふぅ…っ」



ちゅ…ッちゅく…ッちゅるッ




涙で擦れる視界。水音が静かな更衣室内で響いて、誰か部屋の前に通らないか冷や冷やしてならない。




会社でこんなことしてるなんてばれたら、きっと怒られるだけじゃすまないだろう。




それでも、私は。この快感を今手放す事なんてできない。





「んだよ。まだ他ごと考えれる余裕あんのかよ」



「ひゃっ?!」




――と、愛撫されても上の空だった私にむくれた男が舌を抜き取り、眉間に皺を寄せると、




俺を見ろ、と言う様に、私の耳を熱い舌でざらりと舐めた。




「いっいきなり舐めないでよ!!」




「お前が考え事してんのが悪い」



「だからって…!!」




ざっざらって…!!!ざらってなったんですけど…!!!




キッと、真っ赤になった耳を押さえてヤツを睨めば、ヤツもまた不貞腐れたような表情を浮かべ、



すっと伸ばした指で私の顎を掬った。




そして、鼻先が触れそうなほどの距離で、男が口を開いた。



「俺が目の前に居る時は、俺だけ見てろ」


「、」



「今は、俺を暖めることだけ考えてりゃいいんだよ。ほかの事なんて考えてんじゃねぇ」






なんて、理不尽で自分勝手な言葉だろう。




そう思うのに、マフラーに顔を埋め、自分で言ったくせに照れくさそうに視線を逸らすヤツに、




ほんのちょっと。



本当にほんのちょっと、可愛いと思ってしまった。









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