イケない同棲生活
第5章 罠
「……?」
不思議に思って目をゆっくり開けると。
「え…、」
―――驚いた。
目を開けて視界に入ったのは、あの生意気気な顔なんかじゃなくて。
眉間に皺を寄せ、唇を噛む、切なそうな顔を浮かべる宮島楓、だった。
なんで、そんな泣きそうな顔をしているんだ。
「――…先輩」
「な、に」
すっと伸びてきた宮島楓の手を避ける事ができずに、右の頬が温もりに包まれる。
「あの人、一体先輩の何なんですか?」
「、」
そして、揺れる瞳をこちらに向け、そう言った。
あの人…真弘は、私の一体何なのか。
…、
宮島楓が紡ぐ言葉が、まるで理解できない。
いや、わかってる。
わかってるんだけど。
こんな言い方、まるで、宮島楓が私のこと―――…