
イケない同棲生活
第5章 罠
「………」
それに何も答えないのも真弘らしいけれど。
「で、」
涙涙の抱擁の中、聞こえてきたドスのきいた低い声も、真弘らしすぎて。
「E」
ぴたり。
さっきまで止まるのか?と思うほど流れていた涙は、ぴたりと止まった。
ナンダロウ、イヤナヨカン。
恐る恐る顔を上げると、これでもか!!というほど瞳を釣り上げる真弘の顔があった。
うわあああ!!やっぱりいいい!!
「ひっ!!」
「てめぇ、なんであん時電話切るんだよ」
怯える私関係なく、こめかみに青筋を浮かべる真弘はそう言って、人を殺せるくらいの威圧をかけてきて。
真弘が現れた瞬間に消えた、あの足音以上に感じる恐ろしさに、私は冷や汗が流れっぱなしだ。
「ご、ごめんなさい☆」
「なめてんのか?」
「滅相もございません!!!!」
そんな自殺行為さすがにできねぇわ!!
「じゃあいちから説明しろ。なんで電話の時様子がおかしかったのか。なんで泣いてたのか。お前の口から、全部」
と、ふわり。声と反して優しい手つきの手で頬を包まれ、
至極真面目な顔つきで、そう言われた。
