イケない同棲生活
第6章 犯人追跡?
***
「雨宮君!その資料手伝うよ!」
「雨宮さんっ一緒にお昼どう?」
「雨宮君、これ作ってきたんだけど、よかったら食べてっ」
「雨宮君!」「雨宮さん!」
―――出勤して四時間弱。
先程からずっとこの調子、というか。更に黄色い声が増してきた気がする。
「女うるせぇ…」
男性社員はそんな黄色い声に至極迷惑そうにしていて。
私も彩織も、まさに男性社員側になっていた。
あんたらは女子高生かっつの!!
「雨宮く~んっ」「手伝うよ?!」
「…ああ゛~!うるさいぃいいっ集中なんてできないわ!!」
そして、とうとう我慢できなくなった私は、
バンッ!手に持っていたファイルをデスクに投げつけながら椅子に座るも、女性社員は気にせずにヤツ――真弘を囲っていて。
マジであいつら職場に何しに来たんだ…。
「まさか、アンタの同居人があんなにイケメンなんてね。もしあの子等にばれたらアンタ、刺されるわよ?」
未だ機嫌の悪い私を見た彩織は珈琲を啜りながら苦笑した。
……いや、リアルな話すぎてちょっと怖いんだけど…。優雅に珈琲飲みながらそんなこと言わないで欲しいわ。
「…でも、本当にありそうで怖いんですけど…」
「え、ちょっと冗談よ?本当に青ざめてどうすんの」
「だけど、あの様子じゃあ…ねぇ?」
すぃーっと二人して同じタイミングで集団のほうに顔を向け、
「ちょっと!私が先よ?!」
「はあ?私よ!」
ライオンをも怖気付く凄まじい女の戦いに、またもや同じタイミングで苦笑した。