イケない同棲生活
第6章 犯人追跡?
「―――…」
真弘が歩くたびに繊細に動く漆黒の髪を見つめながら、返事を待つ。
すると、真弘はちら、と顔だけを一瞬こちらに向けると、また正面に戻した。
「今日のお前、えらく知りたがるんだな」
「え…?」
しかも、答えじゃない言葉を言って。
「いつも”どーでもいい”って顔してるだろ」
「…、」
――図星、だった。
確かに、初めは真弘の名前すら知りたいとも思わなかったし。聞こうともしなかった。
初日なんて、彼とまともな会話なんてしてなかったように思う。
けど、今は。この数日彼と話して、触れて。”真弘”という男を知ってゆくたび。
彼をもっと知りたいと思ったんだ。
「知りたい?」
「…うん」
だから素直に頷けば、真弘は小さく笑って。
「なんか放っておけないから」
やっぱりぶっきらぼうな声でそう言った。