
イケない同棲生活
第6章 犯人追跡?
「煩いわね。お生憎、欲求不満とかじゃありませんから。私に構う暇があったら仕事しろ仕事」
なんて生意気な後輩なんだ、と思いながら、シッシッ。手で払いのける。
今はあんたに構ってる場合じゃないんだって。
「どうだかね~?」
そんな私を感じ取ったのか否か、宮島楓は意外にもあっさりと離れていった。
だけど、そのまま仕事に取り掛かっているところを見ると、急ぎのものがあるみたい。
…なら私に構わずに仕事してりゃいいのに。
「私もしなくちゃな…」
視線をパソコンに戻し、軽く息を吐いて、キーボードに手を乗せようとした時、
「ちょっと楓」
隣のデスクから、訝しげな顔をしながら彩織が声をかけてきた。
「え、なに?」
仕事中は滅多に話さない彩織だから、珍しい。
「アンタ、いつの間に宮島楓とあんなに親しげになったのよ」
ただ、その言葉な内容を理解するのに、暫し時間が掛かった。
「…は?シタシゲ?」
誰と誰が…?
私と、アイツが?
いや、いやいやいや。どうやったらそう見えるんだ彩織よ…。
思わず眉間に皺を寄せると、彩織は言いにくそうに口を開いた。
「アンタ、あいつのこと嫌いじゃなかったっけ?」
「え?そりゃ、生意気だし」
「そういうことじゃなくて―――…。うん、まあそれでいいけど…さ。私の直感。あんた、アイツに食われるかもよ?」
そして、彼女の口から紡がれた言葉に。
ピシっ
体が石のように固まった。
