イケない同棲生活
第6章 犯人追跡?
彼と出会った時。
私は失恋し、それでもその人に恋焦がれていた。
数日たっても、自分の身に何かあったとき思い浮かぶのは、やっぱりまだその人だった。
けれど、現れたのはその人じゃなく、今目の前にいるこの人。
真弘は何事も無関心なように見えて、私の心なんて見え透いていて。
少しの変化に気付いてくれて。
何度も助けてくれた。
甘い情事に惹かれたんじゃない。
この”雨宮 真弘”という男に私は惹かれていた。
「だからお願い。私を抱いて」
縋る思いで言葉を零す。
そして未だ動かない真弘に、手を伸ばした。
「悪い」
だけど、真弘は驚いた顔をきゅっと引き締め、たった数文字。
「え…?」
私の心を崩すには容易い言葉を口にした。