発言にはご注意を
第1章 発言にはご注意を
「つめたっ!!!!」
すると騒がしい話し声の中から一人の大きな声が聞こえた。
まさかと俺は思わず声の方を見た。
お湯といっても出してすぐは水が出る。
その水は浴槽の底全体に広がる。もちろん『アレ』の下にも。
「…急にどうしたん?」
「……い、いや、なんもない。…ちょ、ちょっとトイレ。」
戸惑いで震える声がしたあと、どたばたと慌ててかけよる足音が聞こえてくる。
とっさに浴槽に入りカーテンを閉めた。
カーテンを閉めてしまうと外で誰がどんなことをしているかわからなくなる。
扉が開く音がしてペタペタと足音がする。
ベルトを外せばしばらく静まり返っているようだ。
…てことは、本人は今の今まで落としていっていたことに気づいていなかったってことか?
しばらくしてベルトを閉める音。
お湯が出る音で消されて聞こえないが、多分そこら中を探し回ってるはずだ。
俺はそんな様子を想像しておかしくて笑いが止まらなかった。ただ、声には出さないように、必死に口を押さえて耐えた。
しばらくして浴槽の八割ほどのお湯がたまったところでお湯を止めた。
するとカーテンの外側から荒い息が聞こえた。それだけ必死になって探しているんだろう。
そりゃそうだろうな。これがなかったら男として一大事だもんな。
さすがに返してやろうと浴槽の中を見れば、『アレ』はたまったお湯の深く底へと沈んだまま平然としている。
思えばこいつがプカプカ浮いてるところなど見たことがない。
……そして、少しさっきより大きい気がする。
いや、きっと屈折とか、そんなものが原因だろう。錯覚、そう、錯覚なんだ。
俺はカーテンをちらっと開けて外の様子を確認した。
トイレのすぐ前にへたりと座り込んでいる男が俺を見た。やはり、こいつだった。
「…裕ちん…僕の…。」
「わかってる。ここにあるから自分でとれ。」
真っ赤な顔をしたまるは動こうとせずにただ顔だけを出している俺を見つめている。
俺はただまるが動きだすのをじっと待っている。
この全く動かない時間がかなり続いたように思う。
すると騒がしい話し声の中から一人の大きな声が聞こえた。
まさかと俺は思わず声の方を見た。
お湯といっても出してすぐは水が出る。
その水は浴槽の底全体に広がる。もちろん『アレ』の下にも。
「…急にどうしたん?」
「……い、いや、なんもない。…ちょ、ちょっとトイレ。」
戸惑いで震える声がしたあと、どたばたと慌ててかけよる足音が聞こえてくる。
とっさに浴槽に入りカーテンを閉めた。
カーテンを閉めてしまうと外で誰がどんなことをしているかわからなくなる。
扉が開く音がしてペタペタと足音がする。
ベルトを外せばしばらく静まり返っているようだ。
…てことは、本人は今の今まで落としていっていたことに気づいていなかったってことか?
しばらくしてベルトを閉める音。
お湯が出る音で消されて聞こえないが、多分そこら中を探し回ってるはずだ。
俺はそんな様子を想像しておかしくて笑いが止まらなかった。ただ、声には出さないように、必死に口を押さえて耐えた。
しばらくして浴槽の八割ほどのお湯がたまったところでお湯を止めた。
するとカーテンの外側から荒い息が聞こえた。それだけ必死になって探しているんだろう。
そりゃそうだろうな。これがなかったら男として一大事だもんな。
さすがに返してやろうと浴槽の中を見れば、『アレ』はたまったお湯の深く底へと沈んだまま平然としている。
思えばこいつがプカプカ浮いてるところなど見たことがない。
……そして、少しさっきより大きい気がする。
いや、きっと屈折とか、そんなものが原因だろう。錯覚、そう、錯覚なんだ。
俺はカーテンをちらっと開けて外の様子を確認した。
トイレのすぐ前にへたりと座り込んでいる男が俺を見た。やはり、こいつだった。
「…裕ちん…僕の…。」
「わかってる。ここにあるから自分でとれ。」
真っ赤な顔をしたまるは動こうとせずにただ顔だけを出している俺を見つめている。
俺はただまるが動きだすのをじっと待っている。
この全く動かない時間がかなり続いたように思う。