発言にはご注意を
第1章 発言にはご注意を
「…なんてことしてくれんねんお前…。」
「ごめん…でも、今どうにかしてくれるん裕ちんしかおらんねん。」
「は?いらん。自分でしろや。…てかなんでそんなしょっちゅう取れんねん。」
相手に渡すために仕方なく湯船から毛虫をつまむように『アレ』をつまみ上げる。
そうすればカーテンの奥で熱い声が聞こえる。
予想以上に大きくなっている『アレ』は俺の指の上でどくんどくんっと波打つ。
「裕…ちんっ…はやくぅっ…」
荒い息の間から聞こえるかすれた声がカーテンを通り抜ける。
「…ほんまに…今日だけやからな。くれぐれも言うなよ!」
「言うわけないやん!!」
俺は手に持っている『アレ』を片手でしっかりと持つ。それだけで声を押さえきれなくなる丸山の姿はカーテンで見えないのが何よりも好都合だった。
もし見えてしまえば、裸の俺、きっと止まらなくなってる。
上下にさすれば指につく透明の液体。
その出口を強く塞ぐ。
それに反応してはっきりと声が聞こえる。
不思議な感覚だった。
裸の俺と服を着たまる。カーテン越しに目を合わせることなくまるは俺の手で興奮している。
不意に笑ってしまいそうだった。
「裕ちん!…あかんっ…そろそろっ!!」
いつのまにか静かになった浴槽から必死に訴えかけるまるの声が響く。
俺は湯船に自分の体ごと沈めて手を動かし続けた。
するとどうだろう。
湯船のなかに白い塊が溢れてお湯に漂った。
固く大きかった『アレ』が力なく小さくなった。そして、丸山の声も小さく、息の中に消えていった。