悪魔と淫美な世界へ
第6章 ~揺さぶられる心~
城の広間では、魁と琉希が話し込んでいる姿があった。
「ゆきが!?」
「私が付いていながら申 し訳ありません」
「ゆきを連れ去った犯人 は分かっているんだろ うな?」
「はい
城の者で、ゆき様の身 体に大変興味を持って いた男です
以前から黒胡と密会し ていた様です」
「そうか
直ぐに黒胡の屋敷へ行 くぞ」
「いえ、その前に少し頭 を冷やして下さい
今の魁様は冷静さを失 っています
それでは黒胡の思う壺 です」
全身から殺気を漂わせている魁に、琉希は冷静にそう言うと中指で眼鏡を直した。
「俺が取り乱してると? 」
「はい
ゆき様の事を想うのな ら少し冷静になって下 さい」
「お前の判断はいつも正 しいが…
だが、早く助け出さな いとゆきの命が危ない っ」
魁は黒い大きな羽を広げると、低空飛行で勢い良く扉を突き破って行った。
「魁様っ!
…全くっ…」
琉希は羽を広げるなり、もう姿が見えなくなった魁を急いで追い掛けた。