悪魔と淫美な世界へ
第7章 ~争いの先~
激しい空中戦の中、黒胡に押され気味で少し息を切らしている魁の姿があった。
「フッ…
嫉妬と怒りで冷静な判 断が出来ていない様だ な」
「そういうお前はどうな んだっ?
平常を装ってる様だが 戦い方が感情的になっ てるぞ
…ゆき…か?」
魁の怒りのこもった問に、黒胡は意味深な笑みを浮かべた。
「俺が犯した中で一番だ ったかな
王座も欲しいけど…ゆ きという人間も欲しく なった」
「なに…」
黒胡の言葉に、魁の表情は一気に鋭くなり只ならぬ空気を漂わせた。
「そんなに意外だったか ?」
「ああ
人間には興味が無いと 思ってたが…
ゆきは別という訳か… 」
「フッ…お前もだろう?
だが俺はお前の様な感 情は無い
…単なる暇潰しだ」
「それなら尚更…ゆきは 渡さない
ゆきは…俺が初めて心 奪われ愛した女だ」
「フッ…愛…ね
俺には理解出来ない感 情だ…」
魁と黒胡はまた物凄い勢いでぶつかり合い、その衝撃波で突風が吹き荒れた。
「くっ…」
「フッ…その程度で俺は 殺せないぞっ」
黒胡は余裕そうに薄ら笑みを浮かべながら、魁を容赦なく攻撃し続けた。
一方の魁は、眉根を寄せて寸前で避けて受けとめてを繰り返す…
だが一瞬の気の緩みで、互いは互いの羽に攻撃が当たった。
「チッ」
「っ…!」
羽を負傷した2人はそのまま落ちていくが、華麗な身のこなしで地面に着地した。
そのまま地上戦へなり、強力な魔力がぶつかり合い地面や木々は跡形も無くなってしまった。