悪魔と淫美な世界へ
第7章 ~争いの先~
互いに攻撃を受けとめ距離をとり、乱れた息を整えながら睨み合った。
「フッ…長引くと魔界ご と破壊してしまう
…そろそろ終わりにし ようか」
「ああ」
魁と黒胡は、瞬間的速さでまた攻撃を仕掛けようとした…その時…
「やめてぇっ!!」
「っ!?」
直ぐ真上からダイブして来るゆきに、魁と黒胡はそのまま地面へ倒れ込んでしまった。
「っ…ゆき、何をしてる っ…」
「うっ…一体何なんだ… 」
ゆきに乗っかられた状態の2人は、身体の痛みに顔を歪ませながら上半身を起こした。
「ゆき…危ないから離れ てろ」
「やっ!」
「というか、俺は関係な いから離してもらおう か」
「関係あるっ!」
ゆきは、右腕には魁の…左腕には黒胡の首をガッチリ巻きつけ離そうとしなかった。
「邪魔をするなら殺して しまうよ?」
「ゆきっ、何してるっ
早く――」
「黒胡さんには無理だと 思う…」
「何?」
思わぬゆきの言葉に、黒胡の眉はピクッと反応した。
「…黒胡さんにはわたし は殺せないよ…
だって…あの時、いた ぶるどころか優しく― ―」
「それは単なる気まぐれ だよ
どんな声で鳴くのか聞 いてみたかっただけだ 」
「じゃあ…」
ゆきは、真剣な眼差しで黒胡を見つめ、覚悟した様子でまた口を開いた。
「魁と戦いたかったら… わたしを殺してからに して」
「っ!?
ゆきっ、何をっ」
焦る魁を後目に、黒胡は一瞬驚いた様な素振りを見せたがすぐ薄ら笑みを浮かべた。
「フッ…いいだろう
本当に人間っていうの は面白い生き物だ」
「ゆきっ!」
黒胡は、手荒くゆきの顎を掴み勢い良く―――