悪魔と淫美な世界へ
第2章 ~可愛い?年下男子~
フェンスの上には黒く大きな羽が生えた魁の姿があり、鋭い目で蒼空を睨みつけていた。
「魁っ!?」
「…悪‥魔…?」
「また俺のものに手を出 そうとするとは…
昨日は大目に見たが
今日は―――」
身軽にフェンスから降りた魁は、落ち着いた足取りで2人に近付き蒼空の前に立った。
どうしようっ!!
っというか羽っ!
「かっ魁っ‥羽っ!!」
「心配するな
用が済んだら記憶を消 す
生きていたらな…」
っ!?
不適な‥まさに悪魔の笑みを浮かべる魁に、ゆきはゾクッと背筋が凍りついた。
「…そういう事だったん だ‥‥
ゆき先輩に悪魔が取り 憑いて‥‥」
「蒼空…?」
「悪魔なんかにゆき先輩 は渡さないっ!」
いきなり殴りかかって来た蒼空を、魁は軽々と片手で受け止めた。
「蒼空っ!」
「フッ…
人間が悪魔に適うとで も思っているのか?」
「思ってないよ
…だから‥‥」
ニッと悪戯な笑みを浮かべる蒼空…
その瞬間、掴まれていた手を開き魁の肩に叩きつけた。
「っ‥‥!」
魁は自信の異変に気がつき、蒼空の手を力強く振り払い素早く離れた。
触れられた肩からはシュウゥと煙が出ていて、焼かれた様に服が焦げていた。
えっ…何が起こったの …?
「チッ…
悪魔払いの術か…」
「昨日家にあったオカル トの本で調べたんだ
なんとなく嫌な予感が したんだ
でも‥まさか本当に悪 魔だったなんてね
用意しといて良かった よ」
得意気に話す蒼空…
見ると掌には魔術的な絵が書かれていて、ゆきはただ2人を見つめる事しか出来ないでいた。
「見様見真似で書いた術 などこの程度の効力… こんな物では殺せはし ないぞ?」
「くっ…
でもっゆき先輩は守れ る!
ゆき先輩に取り憑くの はやめろっ!!」
「蒼空っ…」
「フッ…
取り憑く‥か‥‥
…ゆき‥選べ…
俺とこの生活を続ける か
そいつを選んで元の生 活に戻るか…」