悪魔と淫美な世界へ
第4章 ~ 捧げる想い ~
「おれ‥ゆき先輩が振り 向いてくれるまで待っ てるから…
だから…彼氏とうまく いかなかったら、いつ でもおれの所にきて? 」
「えっ…」
真剣な眼差しで見つめてくる蒼空に、ゆきは一瞬ドキッとした。
「それだけ言いたくて… じゃ、兄貴探さないと いけないから
またね、ゆき先輩」
「あ…う‥うん…」
ベンチから立ち上がった蒼空は、軽く手を振りながら人混みの中へ消えて行った。
蒼空…
「奴と何を話してた?」
突然聞こえてきた魁の声に、ゆきはビクッと肩を跳ねさせながら視線を走らせた。
「かっ魁っ、居たのっ !?」
「お前はよく奴に口説か れるな」
「そっそんなんじゃっ… 」
頬を赤くさせるゆきを見て、魁は眉間にシワを寄せた。
そして隣に座り、ハンバーガーセットが乗ったトレーを手渡した。
「ハンバーガーしか残っ てなかったけど良かっ たか?」
「ありがとう
…魁は食べないの?」
「ああ
俺はこの後、お前を食 べる予定だからな」
「えっ…!?」
たっ食べるってっ…
「安心しろ
こんなに騒がしかった ら、お前の声は誰にも 気付かれない」
やっぱりそういうっ…
せっかくの魁と初デー ト‥‥
「…わたし…普通にデー トしたい‥‥」
「俺じゃ不満ってわけか ?」
「そっそうじゃなくてっ
…その‥‥
まだ乗ってないのもあ るし‥せっかく来たか ら…」
どうしようっ
変にドキドキしてうま く言えないっ…
「じゃあ、奴と乗ればい い
俺は、乗り物よりお前 が欲しい」
整った顔が急接近し、抵抗する間もなく強引に唇が重ねられた―――