悪魔と淫美な世界へ
第5章 ~魔界の王~
ゆき先輩…
学校の屋上から、その様子を悲しげに見つめる蒼空の姿があった。
「失恋中ですか?」
っ!?
突然聞こえてきた男の声に、蒼空は驚きながら振り向いた。
視線の先には、スラッとした長身のインテリ美形・琉希の姿があった。
あんな教師いたかな?
「あの…おれに何か…」
「特に無いです
ここは魁様の様子を見 るのに最適で、そこに たまたまあなたが居た だけのこと」
魁様っ!?
この人もしかしてっ…
「悪‥魔…?」
「はい
私は魁様にお仕えする 琉希と申します
桐島蒼空、あなたは既 に調査済みです
フラれた今でも、喜多 波ゆきの事が相当好き な様ですね」
琉希は妖しげな笑みを浮かべ、中指で眼鏡を直しながら蒼空に近付いた。
そして整った顔を急接近させ、観察する様に蒼空を見つめた。
「ななにっ?」
「人間にしては可愛い顔 をしてますね
…メチャクチャに‥壊 したくなります」
礼儀正しい言葉使いとは裏腹に、超ドS級の危ない雰囲気を漂わせる琉希…
蒼空は身の危険を感じ、顔を強ばらせ固まってしまった。
なんだこいつ!
色んな意味で危ないっ
「怯えた顔もいいですね
もう少しあなたの色々 な表情を見たい所です が、そろそろ失礼しま す
では、また」
礼儀正しく一礼した琉希は、黒い羽を広げ飛び立って行った。
なんだあいつ…
なんか‥変な感じ…
辱めに遭わされたよう な嫌な感覚‥‥
思い出すだけで身震いし、琉希が飛び立って行った空を見上げた。