悪魔と淫美な世界へ
第6章 ~揺さぶられる心~
城の裏にある広い庭では、黒いローブ姿の悪魔達が集まっていた。
皆美男美女揃いで、中には額に角が生えている者もいる。
端の方には人間界では見た事のない様々な酒があり、その横には沢山のグラスが並べられていた。
ここにいる人達って‥ みんな悪魔なんだ…
綺麗な人ばかり…
「ゆき…何があっても俺 から離れるな」
「うん…」
ゆきの返事を聞くと、魁は集まった悪魔達の前に姿を現した。
「魁様だわっ」
「久し振りに見るけど、 全く変わらない美貌と 魔力ね」
「あの姉妹が城を追放さ れて、今回は誰が魁様 のお相手をするのかし ら~」
「毎回あの姉妹が魁様の お相手をしてたから、 選ばれるチャンスよ」
「久し振りのパーティー だ
皆心行くまで楽しむと いいっ」
その言葉を合図に、悪魔達は持っていた酒の入ったグラスに口をつけた。
それを見届けた魁は、見晴らしいの良い場所に用意された椅子に腰掛けた。
「ゆき…来い」
「うん…」
ゆきは緊張した様子で、魁の目の前まで近付いた。
するといきなり逞しい腕に引き寄せられ、軽々と膝の上に座らされてしまった。
「あ…え…魁っ…?」
こんなとこに座ったら 凄い目立っちゃうっ…
「お前の席はここだ
大人しく座っていろ」
「う‥うん…」
恥ずかしくて顔が熱い っ
「グラスに入った酒を飲 み干したら始まるぞ」
「え…?」
ゆきは顔を上げてみると…
皆トロンとした目になっていて、艶めかしく妖しげな雰囲気に包まれていた。
会場は酒とバニラのような甘い香りが充満し、ゆきはその違和感に目を細めた。
お酒の臭いはわかるけ ど…
それに混じってる甘い 匂いはなんだろう…?
「魁…この甘い匂いは? 」
「媚薬だ
酒に混ぜてあって、快 楽が倍増される
俺達悪魔のパーティー には欠かせない物だ
…試してみるか?」
「えっ!?
わ、わたしはいいよっ 」
媚薬なんて単語自体聞 かないのに‥刺激が強 過ぎるよっ…
顔を赤くさせて恥ずかしそうに俯くゆきに、魁は強引に顎を持ち上げ唇を重ねた―――