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ちょっとえっちな短篇集

第8章 きみじゃなきゃだめなの後

袖をもう一回引っ張ると目が合った。
見つめ合う。

すっごいドキドキする。
心臓がすっごいビート刻んじゃって、
口から出ちゃうんじゃないかなってくらい。

わたしのドキドキがつかんでるバジルソースみたいな
変な色のセーターを伝わって届いてたらどうしよう。
今度わたしが服を買おうってちらって思ってから、

「わたしだって、その、子供だけど、
意味が分からないほど子供じゃないんだよ!」

さっきまで泣いてたから鼻もつまってるし、
声はのどに張り付くみたいになって全然でなかったけど、
メイクも服も髪も全部ぐっちゃぐっちゃで
パーフェクトなわたしとは全然違ってたけど。

それでも一番キュートに見えるスマイルで、
わたしのシンプルなハートを。

「好き!」

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