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ちょっとえっちな短篇集

第9章 ナターレの夜に

ほらあの二つのお月さん見えるだろ?
ってゲラゲラ笑うアル中のマンマは
アタシにダークブロンズの髪と目とくちの悪さと
手癖の悪さを残して若くゴミみたいに死んだ。

それはもうそういう物だったんだから仕方ない。
それが彼女の運命だったんだ。

ロクでもない彼女に似合いの
ロクでもない人生と人生の終わりだった。

働きもしないで嫁と幼い子供の稼ぎで食ってたクソ以下の男が
今どこで何してるのかなんて知らないけど
マンマの言うことは絶対だ。

「いいかいイレーネ、男相手にだって負けちゃダメだよ
負けたらその日の飯なしだから覚悟しときなよ
あんたはアタシの子だ、そこらの奴に負けるわけ無いだろう」

スリの腕もかっぱらいも誰にも負けなかったアタシは
今でもプライドが捨てられなくて。

だから今日も聖夜だってのに屋根の上で過ごすんだ。

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