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ちょっとえっちな短篇集

第9章 ナターレの夜に

……?

物音が聞こえた。
ガタリとか、ごそりと言うような大きなものが動く音、
それが木箱をずらす音。

通りに面した路地のほうからか。
リタの部屋の下、こんな時間にリタが外にいるはずがない。

グラッパの瓶は脇に挟んで、毛布の下で身構える。
ヤバそうな奴だったら何か起こる前に退場してもらわないと。

一人か、様子を伺って、ヤバそうだったら即退場願おう。

レンガの家の間の細い道、そこに対象を発見した。
気配も隠さねーのかわざとなのか、
身構えてるのがアホらしくなって立ち上がる。

「ファンクーロ!おい!誰かいないのか!クソ!」
悪態をつく金髪の男が一人。
バカらしいが屋根から返事をしてやるか。

「ヴォナセーラ、どうした色男?
こんな夜に真っ赤な服なんざさてはバッボナターレか?」

「チャオ!ちょっと困っていてね、
親切なラガッツォを探していたところさ、会えて嬉しいよ」

返り血で染まったでかい男は身振り大きくそう答えると
でかい袋を担いでへらへらと笑った。

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