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ちょっとえっちな短篇集

第9章 ナターレの夜に

余韻に浸る振りして腰に手を回して抱きついて
ケツに入ってた財布を失敬して、

ふーん紙幣は別に持つタイプね、
厚いもんな、景気の良いことで。

テオドーロ・グリマルディ 24歳ねぇ、
写真わっか、髪は染めてんだな、ガキの頃の写真だけど顔は変わってないな。
実家はシエナ、郊外だけどいいところだ。

アタシの背中に手回して撫でてるけどお前今財布抜かれてんだからな。

免許証を財布にしまってデニムに戻して、
今度は甘えるみたいに頭を胸に擦り付ける。

これももっとアタシに可愛げがあったら自然なんだけど
結構怪しまれるからやっぱ向いてないんだと思う。

懐にたぶんグロック、指見る限りそんな使ってない。手のひらもきれいなもんだった。
嘘はついてないみたいだ。
大事に育てられた普通の家庭の坊ちゃんってとこだな。

今でさえこんな事になってるけど
こいつにはカルチョを見ない奴がいて
ナターレにパネットーネを焼かない家庭がある。

って事なんざ考え付きもしないんだろうな。

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