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ちょっとえっちな短篇集

第9章 ナターレの夜に

「どうだうちのマンマのパネットーネは」
「最高だ、パネットーネだけじゃないパンドーロもうまかったし
アンティパストもプリモも全部が絶品だった」

ナターレは終わってるって言うのに
残りもんだからって言いながら大量の料理を用意してくれて、
そのどれもこれもがとんでもないうまさだった。

ほらお食べ、だからあんたはやせっぽっちなんだよ
さぁお食べって言われ続けて断れず、
こんなに満腹になったのは生まれて初めてじゃないか?って位に食べた。

今着てるカーラの若い頃のだって服はアタシにぴったりで、
今の彼女の半分くらいの大きさだ。
いくらおいしいからって無闇に食べ過ぎるのはやめようって決意したけど
その決意もあの料理の前じゃ無理かもしれない。

「なんで平凡な主婦なんかしてるんだ?カーラほど料理がうまかったら店だって出せるだろ」

素朴な疑問だ。
気取ったローマの名店にだって負けてない味だった。

「店を出してたくさんの客にほめてもらうよりも
旦那や一人息子やその大事な人たちが喜ぶ事がマンマの幸せなんだろうよ」

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