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ちょっとえっちな短篇集

第2章 絡みつく鎖

さっきまで私を攻め立てていたべた付いた指が私の頬をなぞる。
「気に入ったな、お前我が社に転職してはどうだ?」
「ご冗談を」
「冗談じゃないさ、自分の愛人にこんな事をさせる男のもとより俺のところがいいだろう」

指が顎を、首筋をたどる。
骨ばった指がわたしの喉を撫でた。

「首輪をされているつもりかもしれないが鎖は随分古くなって緩んでいるぞ、
気付いていないんだろうが」

「一体何のことをおっしゃっているのでしょうか」
「お前がその気になればいくらでも千切れるような、そんなものになにを固執しているんだ?
尤もそれが分からないからこんなおかしなことになっているんだろうがな」

目を細めた男の表情は、馬鹿にしたようにも哀れんでいるようにも取れた。

楽しかったと言い残して男が退出すると、
ホテルの部屋には私と彼だけになった。

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