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ちょっとえっちな短篇集

第2章 絡みつく鎖

「なにかお入れしますが、コーヒーでよろしいでしょうか」
「ああ、コーヒーをお願いできるかね」
参加しなかったとはいえ狂乱じみた夜は彼を疲弊させているようで、
普段の自信に満ちた彼ではなく、ソファに深く座り天井を仰ぐ様子は年相応に見えた。

「あの男は昔から私とは犬猿の仲でね、ろくな男ではない」
シャワーを浴びてカップに口をつける彼はもう既にいつもの彼だった。
「存じています」
私がこの仕事、表の仕事を手伝うようになってからも何度もあの男の会社とは揉めてきていた。
もう嫌がらせをするのが目的のようになっているところもあるのだろうと思うけれど。
きっと今日のことだって嫌がらせの一環で、
私なんてどうでも良かったのだろう。

「だから、あれのいう事など気にしてはいけないよ」

君の淹れるコーヒはいつも美味しいね、そういうのと同じ調子で、続ける。

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