
ちょっとえっちな短篇集
第9章 ナターレの夜に
「いいだろ言わせてくれよ、それどころじゃなくって全く口説けなかったのを後悔してるんだから」
「じゃあありきたりな言葉じゃなくって
アンタの言葉で本当に思ってることだけ言え。そしたら聞いてやる。」
偉そうに尊大に。
アタシをそこらの他の女と一緒にするなよ?
にやりって悪そうに笑ってやれば
形のいい眉がへにょりって情けなく垂れるのが可愛い。
顎の下くらいまである髪は奇麗に手入れされてて指どおりもいい。
見た目だけは文句の付け所がないが
中身は甘ちゃんだと思ってたら意外とタマ座っていやがった。
ほら褒めろよ、ぴかぴかの見た目で中身だってふらついてないアンタと違って
貧相に痩せてて冴えないけど気位だけは高い路上育ちのアタシをさ。
「イレーネは可愛い、目がおっきくて唇が薄いのも舐めたいし短い髪も似合ってる」
ああ、目つきの悪い生意気そうなガキ、
薄情そうな顔してる、男のガキじゃねーのかってよく言われる。
でも見つめあって、楽しそうに細められたハシバミ色の奇麗な目に映るアタシは、
自分で言うのも何だけどいつもよりずっと可愛く見えた
