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ちょっとえっちな短篇集

第13章 しのぶれど

「何っ」

熱い液体がたらたらと流れ落ち
女の白い肌を赤く染める。
それが己の首筋を貫通した針を
したたる血であることに気付くまで数瞬かかった。

その間にも女の脚は再び振りあげられ、
そのつま先で何かが
行燈の光を反射したと思う間もなく

もう一本の針が深々と男の喉に突き刺さり、その先端を覗かせた。

「が、ぐぐ…貴様…どこのものだ…東の者か」

喉を押さえ悶える男の体を押しやり
結合を解いた女は

どこからか出したもう一本の針で
手首の拘束を断ち切った。

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